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EM浄化作戦

EM団子1万個で浜名川の浄化作戦 19日に投入、市民参加を呼びかけ

「川の汚れをきれいにして魚を戻そう」

EM(有用微生物群)を活用して海・河川の浄化活動を推進しようと、湖西市の県EM普及協会EM倶楽部(田村喜美代表)は「海の日」の19日、湖西市新居町の浜名川で浄化作戦を計画。川に投入するEM団子1万個と米とぎ汁EM発酵液2300リットルを11日に完成させた。同倶楽部では「川の汚れをきれいにして魚を戻そう」と一般市民の参加を呼び掛けている。

NPO地球環境共生ネットワーク(U・ネット、東京都)が19日に全国各地で計画している「EMで海・河川の浄化作戦」に呼応して開催。同倶楽部は昨年9月に第1回伊勢湾・三河湾浄化大作戦に参加。三重・愛知両県の約120団体、県民3000人とともに5万個を超えるEM団子を投入した。

世界各国でもEMを使った浄化活動は盛んで、東南アジアのマレーシア・ペナン州では、昨年8月8日に120万個のEM団子を州内のケリアン川に投入、大量の汚泥が消失し大きな効果を挙げた。U・ネットでは今年10月に名古屋市で開催の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で活動状況を展示予定だ。

県EM普及協会EM倶楽部は、湖西市と新居町のEMグループの統合後初のイベントとして浄化作戦を展開。EM団子1万個を目標に会員らが5月24日から湖西市新居町内山のEM工房で手作りを進め、11日に会員9人で計1万個を完成させた。併せて米とぎ汁発酵液も2300リットル(ペットボトル1150本分)作った。19日午後3時から湖西市新居町の市老人福祉センター南側の浜名川に架かる「ふれあい橋」に集まり、参加者が投入する。メンバーら100人が参加予定で、市民にも当日参加を呼びかけている。

問い合わせは同倶楽部の田村代表=電053(594)1428=へ。(堀内孝義)

2010年7月13日 中日新聞静岡版

この静岡の件の他にも、各地で一部の市民運動による「EM団子浄化作戦」が行われているようです。では、EMって、いったい何なのでしょう。

EMとは

EM(Effective Microorganisms)とは、「有用微生物群」で、琉球大学教授だった比嘉照夫氏が発見したという微生物群ということです。

それがいかなるものかは、菊池誠・大阪大学教授がまとめているのを読めばわかります。

EM研究機構

菊池誠:「科学とニセ科学」レジュメ(ver.2)より

EM菌はニセ科学か

  1. EM菌:Effective Microorganisms(有用微生物群)。ここでは琉球大学農学部・比嘉照夫教授の提唱になるものを指す。数十種の微生物を安定的に共生させた系とされ、ゴミ処理・水処理・土壌改良に役立ち、食料問題や環境問題はEMで解決するらしい。また、EMの産出物を濃縮したEM・Xは強力な抗酸化作用によって人間の自然治癒力を高め、生活習慣病から果てはガンにまで効くという。と、効能を長々と書いたのは、「ニセ科学」という観点から興味深いため
  2. 土壌微生物の利用による土壌改良や微生物を使ったゴミ処理・水処理などは、重要な研究課題であり、考え方自体は決しておかしくない。少なくとも、最初はニセ科学と無関係だったと思われる
  3. いくつかの分野では実際に効果があると考えられる(ただし、学術的検証はあまり行われていないようだ。また、数少ない中には否定的な研究もある)
  4. 数十種の微生物を安定に共生させることが人為的に可能かどうかは疑わしい
  5. 食料問題や環境問題が解決するという言い方は、かなりニセ科学寄り(ただし、そういう誇張した発言をする研究者はよくいるので、ひどく変なわけでもない)
  6. よい面だけがあって悪い面がまったくない技術、という言い方はニセ科学的
  7. 万能性を謳いだすことは、ニセ科学の兆候(特にアトピーとガンに対する効能を言いはじめたら、疑ってかかるべき)。
  8. 比嘉氏自身の科学知識はかなりお粗末。波動や水の記憶、ホメオパシーなどを信じていることを公言している。EM・Xの安全性は磁気共鳴分析器(MRA)で調べたとの記述あり。MRAは波動測定器のひとつ。さらに最近の著書によれば、EMの波動は重力波らしいというのだが、重力波がなんなのかも知らずに書いていると思われる。物理の常識からすれば、ナンセンス
  9. 他の研究者からの批判に対する対応にはニセ科学に典型的なスタイルが見られる。
  10. なんらかの有用な(?)発見をした研究者が、それに「万能性の夢」を見てしまい、ニセ科学の道へ進んでいる(進んでしまった)という解釈が妥当なところか。

EMの効果は波動測定器で測ったとか、EMを濃縮したとかいう飲料EM・Xはがんにも効くなどと主張するなど、これはニセ科学そのものでしょう。安井至氏の「市民のための環境学ガイド」では、EMに「似非古豪賞」を与えています。

福島県環境センターが「EM菌投入は河川の汚濁源」と見解

県が初の見解「EM菌投入は河川の汚濁源」

県は、河川や学校で水質浄化の環境活動に使われているEM菌(有用微生物群)などの微生物資材について「高濃度の有機物が含まれる微生物資材を河川や湖沼に投入すれば汚濁源となる」との見解をまとめ7日、郡山市で開いた生活排水対策推進指導員等講習会で発表した。

県環境センターが、市販のEM菌など3種類の微生物資材を2つの方法で培養、分析した結果、いずれの培養液も有機物濃度を示す生物化学的酸素要求量(BOD)と化学的酸素要求量(COD)が、合併浄化槽の放流水の環境基準の約200倍から600倍だった。

県が微生物資材の使用について見解をまとめたのは初めて。県生活環境部は「活動している方々と今後、幅広く議論の場を設ける。(今回の見解が)議論のきっかけになればいい」としている。EM菌使用の環境活動は県内の学校や団体で幅広く行われており、波紋を広げそう。

2008年3月8日 福島民友ニュース

詳細記事が、ブログ「環境保全型資材」でまとめられています。(強調引用者)

県環境センターは、市販の微生物資材3種類をメーカー指定方法に順じ、糖蜜や米のとぎ汁などで希釈し7日間培養し、測定した。

いずれも酸性が強く、水質の汚濁度を示すBOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(科学的酸素要求量)は1当り4000mgから15000mgとなった。窒素は合併浄化槽放流水の4倍から12倍、リンは同2倍から32倍の値を示した。

このため県は、微生物資材の河川などへの投入について「培養液そのものが高濃度の有機物で、投入後に固体と液体とに分離することができないことから、水を汚染することにつながる。微生物資材の中に水質浄化になどが含まれていても、慎まなければならない行為」との見解をまとめた。

河川投入に対して否定的な見方をする一方、そのほかの環境活動利用については「生ごみの堆肥(たいひ)化や、洗剤の替わりに用いるトイレや風呂の洗浄などでは適量であれば問題はないと考える」としている。

県は今後、利用方法に関するパンフレットなどを作成し、県民に呼び掛ける方針。

福島大学准教授が研究報告

講習会では、微生物を研究している難波謙二福島大学准教授が、微生物の働きについて講演会、岡山県で行なった自身の研究結果を披露した。それによると、瀬戸内海のヘドロ分解に関してEM菌などの微生物資材は逆効果だったと述べ(販売元が)『何でも効く』と主張することで汚染物質と原因の特定から始まるメカニズムの解明を贈らせ、被害を遅らせ、被害を拡大する可能性がある」と指摘した。

難波准教授はまた、日本土壌肥科学会の報告でも有効性がないとされたことを紹介した。

市担当者「データ求める」

会議には福島市、郡山市の環境行政担当者も出席。福島市の職員は、「(EM菌については)これまで扱いに困っていた。今後、県に対して検証結果を求めていきたい」と述べた。

団体、学校「がっかり」「大丈夫なのでは」

県の見解に、EMなどを使って河川浄化などに取り組む各団体や学校は困惑している。

2002年(平成14)年からEM菌を使って郡山市の河川などで水質浄化活動に取り組むNPO「EM・エコ郡山」の武藤信義理事長は「現場で上がっている成果と異なる見解。がっかりした部分はある」と当惑する。

講習会にも出席した武藤理事長は質疑応答で「汚れた池や河川が目に見えてきれいになるなどの効果が出ている。理論的には説明できないが、今後も(利用を)継続したい」と離した。

同団体は同市の亀田川、南川、芳賀池などで住民と連帯し、定期的にEM活性液を流し入れてきた。武藤理事長は「専門機関での水質分析でも改善傾向が見られ、近隣住民からもにおいが無くなったとの声も聞かれている」と実績を強調。

一方で「賛成、反対の意見があったが、今回の見解をきっかけに、きちんとした認識が広がれば」と話す。

伊達市霊山町で河川や小学校のプールなどにEM発酵液を投入している「りょうぜんEMエコクラブ」の秋葉ムラ会長は「環境が良くなっているという結果も出ており、インドネシアやタイでは政府が取り組んでいる事業と聞いている。原液なら弊害があるかもしれないが、各団体で使っている何千倍にも薄めたのならば大丈夫なのではないか」と戸惑う。

自治体が「EMは汚濁源だ」と発表したことで、「善意」でEM浄化作戦をやっているグループが動揺していたようです。

kikulog:EM菌投入は河川の汚濁源

下水処理では微生物を浄化に用いているのですが、この微生物をそのまま河川に投入すれば汚濁源になります。ただの土団子であれ、「有用な微生物」であったとしても、川に入れたからといって水が綺麗になるわけではなく、まともに検証もせずに「異物」を川に投げ込むのはゴミの不法投棄と同じですから。

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