結論
さて、食品をはじめとして、生活にまつわるいい話、悪い話を検証してきました。これさえ食べれば病気をしない、健康に痩せられる(「痩」という字自体ヤマイダレだので、「健康に痩せる」という言葉自体なんだかヘンですが)マジックフーズもない、逆に必ず死ぬ、必ずがんになる悪魔フーズもないのです。合成洗剤が環境に悪くて石鹸がいいとは言い切れないのです。そろそろ、このサイトを通じて私が言いたい結論にまいりましょう。
ズバリ、結論は「ない」です。
もう少し付け加えると、
「特別なものはない」です。
期待させておいてつまらないでしょう。でも、そのごくごく当たり前でつまらないことが結論なのです。いろんなものをバランスよく摂る、だからといって防げない病気もある、過度な期待は禁物だと。
安井至氏が、小島正美著『誤解だらけの「危ない話」』の書評として、「危ない」という「庶民感覚」の例を次のようにまとめています。
- 原子力発電は危ない
- 食品添加物は危ない
- 残留農薬は危ない
- 中国産食品は危ない
- 残留抗生物質は危ない
- 遺伝子組換え食品は危ない
- 化学調味料は危ない
- トランス脂肪酸は危ない
- 化粧品中の天然物以外の物質は危ない
- 電磁波は危ない
- IH調理器は危ない
- だからオール電化は危ない
- ダイオキシンは危ない
- 環境ホルモンは危ない
- カドミウムは危ない
- 水銀は危ない
- BSEは危ない
- 硝酸塩は危ない
そして、「筆者の個人的見解」と前置きしたうえで、「これらの庶民感覚の中で、現時点で行われている以上のリスク対応をしなければならないものは、ほぼ無いと断言してよいと言える」と安井氏は言っています。
私も全面的に同意します。少なくとも日本のような先進国では、「危ない」ものはそんじょそこらに転がっているものではない、それこそ自動車や包丁で死ぬ心配でもしたほうがいいでしょう。
恵まれた世の中に感謝しよう
食品添加物も化学合成農薬もなかった「昔」が良かった的なノスタルジアがありますが、人生50年、乳児死亡率が高く、結核が死の病だった時代に戻りたいでしょうか? 誰もそんなことは思わないですね。
食生活が欧米化して、画一的になっておかしくなった? 確かに全国各地に豪奢な郷土料理がありますが、昔は「ハレ」と「ケ」に厳然たる区別があって、そういった郷土料理は、正月とか嫁入りとか、年に数回の「ハレ」の日に食べるものであって、普段は大量のご飯と僅かなおかずという「ばっかり食」の習慣があり(保存性を高めるために塩分も高く)、平均寿命の短さにつながっていたということは、多くの栄養学者の見解が一致するところです。
未だに食べるものも食べられずに死んで行く人がなくならない中で、今の日本の食生活はとても恵まれているのです。感謝しなければ、バチがあたります。
『買ってはいけない』を書いた「科学ジャーナリスト」、スーパーで寿司を買ってもイクラだけ「亜硝酸が入っているから」といって捨てるそうです。こういう人こそ、バチがあたります。