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たった一人の医師に、メディアはまんまと振り回された

新型インフルエンザ騒動も、今では忘れ去られようとしていますが、その前に、「タミフル異常行動」の問題がメディアを賑わせました。その報道に、いつも決まって、一人の医師の名前が出てきたんですね。

「医薬ビジランスセンター」代表・浜六郎医師です。

ところが、臨床医や薬剤師など、薬の専門家のほとんどは、インフルエンザの治療にはタミフルが有用という見解でした。いわば、たった一人のエキセントリックな医師が、盛んにメディアに登場してタミフルの「薬害」を唱える、メディアも彼をヒーローにまつり上げて、みんな右へ倣えで大本営発表のごとく恐怖情報を撒き散らす、医学界のその他大勢が反論ないし無視していても、それを取り上げなければ、「タミフル=危険」という論が出来上がるようなのです。

ニセ科学批判で有名な、菊池誠・大阪大学教授は、自身のブログでタミフル問題について取り上げています。

タミフル承認取り消し要求、または、浜六郎氏の言動はあまりにも危険だと思う

浜六郎氏のビジランスセンターが、タミフルの承認取り消しを求めたそうです。要するに、薬として葬ってしまいたいということですよね。 これは「使用を控えよ」と主張するのとはまったく意味合いの違う行為です。老齢者にも使えなくなるし、なにより「新型インフルエンザを見越した備蓄」をもやめることを意味します。ですよね。承認されない薬を備蓄するのは妙ですから。

僕は、強毒性新型インフルエンザが近い将来発生する確率は非常に高いと考えています。ほぼ避けがたいのではないでしょうか。したがって、「備蓄」はとても重要。これを許さないという浜氏の言動は、僕に言わせればまったく常軌を逸したもので、きわめて危険であると思います。まったくの暴論です。 端的に言えば、彼はこれによって、僕自身や家族や友人を危機に陥れようとしているわけです。「被害者の会」のみなさんにはお気の毒とは思いますが、しかし、そのことによって僕たちを危機に陥れることを正当化できるはずはないので、浜氏に同調されないことを望みます。「使用は慎重に」で充分なはずです。

WHOよりも浜六郎氏の言っていることを選ぶのはおかしいでしょう

新型インフルエンザの危険についての認識の点でもタミフルの必要性についての認識の点でも、浜六郎氏の主張はことごとくWHOの主張と対立しています。だから、浜氏の意見をことさらに持ち上げるマスコミは、WHOよりも浜氏を信頼しているとしか思えない。なぜ、そんな馬鹿なことが起きるのか、僕にはまったく理解できません。

パンデミックを別にしても、「インフルエンザはただの風邪」「寝てれば治る」という浜氏の主張は全然だめなんですよ。毎年たくさんの人がインフルエンザで死んでいるわけです。そして、その数はタミフルの副作用による「飛び降り死」よりも圧倒的に多い(あんまりこういうことを大きく書きたくはないのですが)。「インフルエンザは人が死ぬ病気」です。

マスコミは浜氏以外の疫学や感染症の専門家に意見をきくべきだし、それ以上に、もっと多くの専門家がきちんと意見を述べるべきです。専門家が表に出てこないことに対して、強い不満を感じています。こんな話は、僕のような非専門家がブログに書いてたってだめなんですよ。

私は浜氏に関して、マスコミ商売がうまいだけの人という印象を抱いていましたが、ある時ネットで、彼を直接知るという方から聞いたところによると、別に売り込みがうまいわけでもなく、根は真面目な人物なのだと。あれだけの活動をたった一人でやっている。つまり、彼の周りにはブレーンがいない、思い込みに駆られて暴走しても、それを諌める人物が周りにいないそうなのです。

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