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ニューエイジとは

ここでいうニューエイジとは、アメリカ西海岸からおこった、「霊性復興運動」を指します。1960年代、ベトナム戦争あたりから盛んになった、ヒッピー、カウンターカルチャーの流れです。いわばアメリカ・西洋の個人主義と科学に対するアンチテーゼとして、東洋やインディアンの思想を持ちだして、瞑想とか代替医療、波動グッズなどに裾野が広がっていったわけですね。「スピリチュアル」という言葉で喧伝されている商品は、おおむねニューエイジ由来といえます。

『カルト資本主義』

日本におけるニューエイジの問題を世に問うた著作が、斎藤貴男著『カルト資本主義』です。

  • 第1章 ソニーと「超能力」
  • 第2章 「永久機関」に群がる人々
  • 第3章 京セラ「稲盛和夫」という呪術師
  • 第4章 科学技術庁のオカルト研究
  • 第5章 「万能」微生物EMと世界救世教
  • 第6章 オカルトビジネスのドン「船井幸雄」
  • 第7章 ヤマギシ会ー日本企業のユートピア
  • 第8章 米国政府が売り込むアムウェイ商法

あのソニーの社内に、井深大氏の肝煎りで設置された「ESPER研究室」なる部署があって、井深氏の死去とともに廃止されたということからして驚きですが、日本では、経営者の側にニューエイジが利用され、個人から自我を奪って支配するための方便にされているとしています。アメリカには個人主義が根付いていて、それに対するアンチテーゼとしてニューエイジムーブメントが湧き起こったのだけれども、日本の場合、元々の国民性がニューエイジに親和性を持っているというのです。

斎藤氏によると、ニューエイジの特徴とは、

  • オカルト的な神秘主義を価値観する。
  • 西洋近代文明を否定する態度を示し、そのアンチテーゼとしてのエコロジーを主張する。
  • 個人を軽視し、全体の調和を重視する。
  • 情緒的・感覚的であり、論理的・合理的でない。
といったところです。

船井幸雄氏という人物

おそらく、日本におけるニューエイジ界最大のキーパーソンが船井幸雄氏でしょう(どうやら自身にはニューエイジャーという自覚はないらしいのですが)。著名な経営コンサルタントで船井総研の創業者。「本物研究所」のサイトを見れば目がくらくらしそうですが、怪しげな商品を「本物」「本物」といって奨めまくる(この人が奨めている「本物」商品は怪しいと思って間違いありません)。『水からの伝言』のような波動ビジネスも、まあだいたいこの人とつながっています。

「百匹目の猿」と「グリセリン結晶」

船井氏がやたらと喧伝して(この話を広めるために作ったのが「にんげんクラブ」)、ニューエイジ界隈でよく知られるようになった話が「百匹目の猿」です。

この話の元は、イギリスの生命科学者ライアル・ワトソンの著作『生命潮流』です。宮崎県の幸島で、海で芋を洗って食べる猿が100匹を超えたとき、その行動が群れ全体に広まって、やがては、幸島から遠く離れて接触がないはずの高崎山の猿にまで行動が広まる、というのです。そして、人間も、誰かが行動を起こせばみんなに広まると、シンクロニシティ(共時性)の例として取り上げられたのです。

ワトソンは河合雅雄氏の論文を参考文献としていたのですが、その河合氏の論文では、高崎山で芋を洗うニホンザルが現れて、真似をする個体が他にも出た、というものであって、群れ全体に伝播したとか、幸島から高崎山に伝わったというのは、ワトソンの作り話だったのです。その事を指摘されると、ワトソン本人が捏造であることを認めちゃったのです。

『生命潮流』に書かれた、もう一つの有名な疑似科学的捏造が、「グリセリンの結晶」です。

この話も、1923年にカリフォルニア大学のギブソンとジオーグが出した論文を参考文献としているのですが、その内容は「グリセリンをいったん-193℃に冷却した後、一日以上かけてゆっくり温めることで17.8℃で結晶化する」というものでした。

kikulog:グリセリンの結晶

市民運動とニューエイジ

ただ、『カルト資本主義』に関しては、斎藤氏の反権力的なスタンスにもよるのでしょうが、ニューエイジを企業や行政の側との結びつきから論じている一方で、それとはいわば対極にある市民運動の側(例えばきくちゆみ氏のような人物)ももう少し掘り下げてほしかったと思っています。

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